手術後のガーゼ取り忘れ

10年以上前の話です。私の父が交通事故にあいました。

父は、腹部に鉄柱が突き刺さり、瀕死の重傷でした。事故後、父はすぐに救急車で県下で最も大きな救急救命センターへ運び込まれました。

その時、私は仕事をしていたのですが、父の財布に入っていた連絡先を見つけた警察から連絡を受け、すぐに病院へと向かったのでした。

病院に着くとすぐに、医師から瀕死の重傷である説明を受け、緊急手術の必要性を伝えられました。そして、手術に関する同意書を記載させられ、父の手術はすぐに始まりました。

手術は8時間にも及ぶ大手術でした。私は、術中1人で泣いていました。見かねた看護師さんがずっと寄り添ってくださり、ハンカチを差し出し、優しい言葉を掛けてくださいました。

父の手術は無事に成功しました。一命を取り止め、時間は掛かるが元の生活に戻れるだろうとのことでした。

手術後は、ICUにて面会謝絶の対応であったため、すぐに会うことは出来ませんでした。私は、安心して、家に帰り、翌日改めて病院に来ることにしました。

翌日病院に来ると、担当医と病院長が話がしたいことがあると言われました。

「手術後、ICUにて病状管理をお行い、腹部の痛みを訴えられるので、エコーを取りました。その結果、体内にガーゼが残っていることがわかりました。」と担当医から説明され、「医療事故です。」と病院長から言われました。

担当医は、その後「すみません」と終始泣きじゃくっていました。

私は、病院を訴えるようなことはしませんでした。医療事故と説明を受けましたが、隠すことなく説明をしてくれた病院の態度、優しい言葉をかけてくれた看護師、真摯に向き合ってくれた病院長と主治医に大きな感謝をしていたからです。

現在、父はすっかり回復して、元気に過ごしています。